20周年プレ企画第三弾！1行落ちモノゲームの金字塔、Mr.Tの成立経緯について

2023年04月13日木曜日 11:18

この記事は20周年プレ企画第三弾です。第二弾では「逃走入力式オートバトル～PB-100用のミニマムなRPGの戦闘システム～」を公開しました。

4月18日20時18分の20周年記念日の前夜まで、計7回に渡って記事やバージョンアップを用意しています。お楽しみに！

本件に関する記憶細胞が抹消される前に、ここに記録しておきます。開発時のメモ等でさらに詳細が判明したら追記していきます。

ところで、この記事の公開作業をしながら録画した「水星の魔女 Season2 #13」をようやく観ています。おかげ様で、20周年に向けてそのくらい忙しくさせて頂いております。ってどのくらいやねん!?

K君のアイデアで連鎖を実現

1行落ちモノゲームの金字塔「Mr.T」へと至る道は、中学～高校時代の友人のK君に「パニッカーST」(滝本飛沫, ポケコンジャーナル 1995年3月号)を見せたことから始まります。彼は僕に影響されてポケコンを購入し PC-E650 ユーザーにもなってくれました。

このK君の通学路にはゲームセンターがあり、彼はよく利用していたようです。もちろんそこは生徒指導の教師も出入りし、優等生に属する彼からは教師達をいなしていた話を聞いた気がします。ちなみにこのゲーセンは既に閉店しています。

さて、そこで一世を風靡していた落ちモノの傑作「ぷよぷよ」の連鎖をパニッカーSTに取り入れようと、K君が「特殊ブロック」を考案してくれたのでした。

これを実装して画面全てを一挙に消す連鎖が出来るようになりました。しかしこの時点では元作品のパニッカーSTのシンプルな美しさに比して、特殊ブロックには無理やり感も否めませんでした。

消えすぎる問題

その後にこの追加ルールの致命的な欠点に気付くことになります。一切キー操作をしないで画面を眺めていたのですが、ブロックが消え続けてゲームが終わらなかったのです！消える圧力が強すぎるのでした。

そこでまずは、同じ方向のブロックの出現を辞めました。このブロックは積むと確実に消滅します。そして最上段のブロックによっては3つのブロックが一挙に消えます。

このブロックは場に積もるブロックを偶数個から奇数個へと切り替える点などゲームに興味深い作用を及ぼしています。しかし、Mr.T では一旦これを辞めることにしました。

パニッカーSTの、同じ方向のブロックによる3つ同時消し、場のブロックの偶数個と奇数個の切り替えは、床がせりあがるシステムと相まってゲーム展開に変化を生んでいます。せり上がる床という鉱脈を探求する作品が続く願いを込めて、読者諸賢の注意を喚起します。

依然として消えすぎる問題

それでも依然としてブロックを消す圧力の方が強い。そこで発見したのが、特殊ブロックが画面に残り矢印ブロックでは消すことのできない「お邪魔ブロック」になること。このお邪魔ブロックはお邪魔ブロックと並ぶことで消える。先に述べた「無理やり感」は、特殊ブロックがノーコストで消えていた点にあったのかもしれません。

お邪魔ブロックを絡ませることで最も高ランクな連鎖が可能になる。ブロックを高く積み上げたところでお邪魔ブロックが残ってしまうと一挙に窮地になる、スリリングなゲームになりました。これは我ながら会心の変更でした。

しかもお邪魔ブロックを消すコードは、矢印ブロックを消す条件式をそのまま使えます。

さて、お邪魔ブロックはルールは異なりますが、ぷよぷよの対戦プレイでも登場します。ミニマムなマシンでありながら現代的な落ちモノの要素をさらに取り込む事が出来たのでした。

最後に安い手を狙い続ければ、お邪魔ブロックも苦にならない点は、咳めぐ氏が「リアルタイムレベルアップシステム」と命名してくれた、システムでハイスコアを意味のあるものにしました。これはやや無理やり感がありますが fps を出せない PB-100 では仕方が無いですね。